肥後金工の魅力① 平田家―浪華小道具研究会でのレクチャーより
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- 1 日前
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大阪の浪華小道具研究会にて、伊藤満による肥後金工をテーマとしたレクチャーが生國魂神社で行われました。今回のブログは「肥後金工の魅力シリーズ①―平田家」です。平田家に絞ってわかりやすくご紹介します。肥後四主流の美意識や特徴をシリーズ①平田・②志水・③西垣・④林・神吉という流れで、各作家の特徴に迫りたいと思います。本日から、4日間続けてお届けします。④の最終章に、レクレチャーで行われた鐔のプチ入札鑑定を用意しています。ぜひゲーム感覚で、トライしてみてください♡

浪華小道具研究会とは
浪華小道具研究会は岡山県の刀装具研究家である難波五風氏が1955年から始めた刀装具の勉強会です。当時、鐔の研究に、適当な初心者向の入門書が貧しいということで、昭和37年(1962年)に「鉄鐔初等入門抄」が作られ、講義用テキストブックとして使われていたようです。この書籍の中には、多くの透鐔、肥後鐔、信家、山吉など、さまざまな鐔が掲載されています。鉄鐔を主として講義をされていたことがわかります。


肥後金工の魅力
父・伊藤満が肥後金工の書籍「西垣」を出版して20年が経ちました。その後、「平田・志水」や「林・神吉」を続けて出版しました。ページが外れるほど、熟読されている方もいらっしゃり、とても驚きました。そして、コレクターのみなさまが、親睦を深め、知識を共有されていることも嬉しく思います。私も愛好家のみなさまと一緒に肥後金工の美学を探求したいと思います。

肥後金工の四主流
肥後金工には平田・志水・西垣・林の四主流があります。その各流派が個性的です。師弟の関係であったり、同じ地方であったりすると、結果的に作風が似てしまうことがありますが、肥後金工の作品は、芸術的で、それぞれにスタイルがあり、個性豊かなものを残しています。その芸術には、武家文化の哲学があり、精緻なものから、モダンアートのようなアブストラクトな作風まで幅広くあります。肥後金工の各書籍で紹介されていますが、公式な文章から各流派の歴史が比較的はっきりしています。嬉しいことに、肥後金工の作品は数が多く、蒐集に適しています。金具や拵まで楽しめる幅が広いところも魅力的です。
肥後金工の四主流にどっぷり浸かってみてください。肥後金工のレクチャーノートよりご紹介します
平田家
初代 平田彦三
父は「平田・志水」を書いたことがきっかけとなり、平田彦三の子孫の方と知り合うことができたそうです。その際に「系図」、「系譜」、「過去帳」を見せていただき、平田彦三の祖先から現在までの系譜が明らかとなり、生没年、戒名や妻帯がわかったそうです。その研究発見は、「平田家について」として、「林・神吉」の78頁から書いています。彦三の生年は不明ですが、寛永12年(1635)11月9日に没しており、55歳〜60歳だったとされています。彦三の父・松本因幡守と関ヶ原合戦の田辺城籠城戦に参加しています。豊前小倉にいた頃から鐔などを製作していたものと思われます。細川三斎の命令で金工を修行し、100石の禄高で抱えられていました。ひとえに利休高弟七哲の一人とわれた細川三斎の指導と影響は大きく、彦三こそが肥後金工の創始者と言え、洗練された、高尚で教養の高い作品からも、それが伝わります。彦三の作品には、鉄と色金のものがあり、色金は独自の風合いを出しています。左右州浜の櫃穴が多くあり、色金の鐔の切羽台には、独特の刻印を打ちます。現在までに、発見されている在銘の鐔は、鉄鐔「ひこ 彦三」のたった一点のみです。


二代 平田少三郎
彦三の長男は養子となり、次男・少三郎が家督を継ぎました。少三郎は元和4年(1618)に生まれ、貞享3年(1686)3月24日68歳で没しています。彦三が亡くなってからは、熊本に呼び出され、十人扶持合力米二十石という手厚い待遇で抱えられました。少三郎の作品には、鉄と色金のものがあり、作風は初代を意識しながらも、時代の好みに合わせて、シンプルで磨池の明るいものが多く、素覆輪のものも多くあります。現在までに、銘がある作品は発見されていないので、すべて無銘です。

結びに
難波小道具研究会でのレクチャーは「肥後金工の魅力」を伊藤満が一気に解説していましたが、ブログでは、肥後四主流を一つずつ解釈して、お伝えしたいと思います。今回は「平田家」をご紹介しました。平田彦三は細川三斎から直接、指導を受けた唯一の作家です。平田家には三斎から拝領した茶碗などの道具が伝わったいたそうです。彦三は志水仁兵衛と西垣勘四郎の師匠であり、彼らに大きな影響を与えたことを踏まえて、明日は「肥後金工の魅力シリーズ②―志水家」をお届けします。Until then Stay tosogu & sword minded : )
参考:
鉄鐔初等入門抄 浪華小道具研究会 難波五風
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