2025年大刀剣市① 出品 重要刀剣 短刀 備中国住次吉作と金梨子地巴紋蒔絵鞘合口拵
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- 10月17日
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今年も11月1日・2日に開催される大刀剣市に出店いたします。今回のカタログには、備中国住次吉作の短刀(重要刀剣指定)、金梨子地巴紋蒔絵鞘合口拵、平田彦三、林重光、放れ銘と太字銘信家の重要刀装具4点を掲載しています。
いずれも優れた作家の美意識を伝える逸品です。本記事では、「次吉の短刀と合口拵」をご紹介いたします。
短刀 備中国住次吉作(重要刀剣)について
こちらの作品は、南北朝期の青江派を代表する次吉の重要美術指定作品です。第58回重要刀剣図譜の解説を交えて、ご紹介します。「11世紀初頭の従来物「新猿楽記」は諸国の明産物を列記する中に「備中ノ国」を挙げている。その高い評価を受け継ぐ青江派の刀工が登場し、高梁川下流域を中心に繁栄した。彼らのうち鎌倉時代中期頃までのものを古青江、それ以降南北朝期にかけてのものを青江と汎称し代別している。古青江には小沸出来で匂口がしまり、明るく冴えた直刃や特色ある逆丁子乱を見せるようになる。概して次吉には、直刃が、次直には逆丁子乱れが多く、いずれも匂口が締まり、明るく冴えるところが見どころ。
この短刀は重ねの薄い造り込みで、つんだ鍛えに細かな地沸が厚くつき、地班調の肌合を交え、映りは段映りとなり、匂勝ちのやや締まった明るい細直刃を焼き、帽子はのたれ込んでいるなど、この期の青江派の特色が顕著に現れた作刀。本作で特に注目される点として、区際まで深く大胆に焼き下げた帽子の返りであり、同派の直刃出来の作例としては珍しい出来であるが、品を落とさずにむしろ小気味良い作品に仕上げられている点が賞賛される。また、在銘でかつ、年紀を有するなど資料的価値も頗る高い優品である。」と極めて評価の高い作品です。
特徴
刃長:9寸1分 (27.5cm)
反り:僅かに内反り
時代:南北朝時代
鍛:板目肌流れてつみ、裏下半やや肌立ち、地沸微塵につき、地斑調の肌合交じり、鮮明に映りが立ち、刃寄が段映りとなる。
刃文:細直刃、処々僅かに浅くのたれごころをおび、少し小足・逆足風入り、匂口締まりごころとなり、匂勝ち小沸つき、匂口明るい。
茎:生ぶ、目釘孔二つ。銘「備中国住次吉作」裏:年紀 康安二年十月日








金梨子地巴紋蒔絵鞘合口拵
金梨子地に巴紋を散らした蒔絵鞘が華やかであり、上品な気品も備えています。
登録証の番号が、上杉家の重宝であった姫鶴一文字と並んでいることから、上杉家の伝来と思われます。しかし、上杉家の「上杉家御腰物帳」には記載がないので、重要刀剣図譜の解説には書かれていません。
拵は、合口式ではありますが、鐺が切りになっていること、縁と鯉口の幅が細いことから、合口拵は丸鐺にするのが定着する、桃山時代以前のものです。
金梨子地は古く、笄は古金工、小柄は古美濃の作品が使われています。目貫の図は「眠り仕丁」と呼ばれるもので、従者が居眠りをしているデザインです。
柄の鮫は黒漆を塗ってから、銀箔を押しています。現在は経年により黒く変色して味わい深いものとなっていて、見どころが多い作品です。






展示のご案内
出店情報
イベント名:大刀剣市 2025
会期:2025年11月1日(土)~2日(日)
会場:東京美術倶楽部(3階)
ブース名:ギャラリー陽々
オンラインカタログ:全国刀剣商業協同組合のサイトからご覧いただけます。


結びに
備中国住次吉作の短刀と金梨子地巴紋蒔絵鞘合口拵は、日本刀・刀装具の粋を伝える貴重な組み合わせです。ぜひ、大刀剣市にお越しいただき、刀身と拵の美しい調和を、ぜひでご堪能ください。次回は「2025年大刀剣市:ギャラリー陽々・出展作品のご紹介②」をお届けいたします。Stay Tosogu & Sword Minded : )


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