武士の美学 刀装具
- gallery陽々youyou
- 9月24日
- 読了時間: 3分
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日本刀は、何世紀にもわたり武器として優れているばかりではなく、それ以上に美しい芸術作品としても優れていることは世界に良く知られています。刀身ばかりに注目が集まりがちですが、鐔(つば)、目貫(めぬき)、小柄(こづか)、縁頭(ふちがしら)、笄(こうがい)、や拵(こしらえ)も、また、武士の身分や美意識、精神性を象徴するもので欠かせない存在です。
ギャラリー陽々では、これらの優れた美術作品についての知識を広く共有したいと思っています。本ブログでは、刀装具の世界をご紹介し、鑑賞のポイント、コレクションのためのヒント、そしてギャラリーで取り扱う作品をご紹介してまいります。
そもそも刀装具とは
「刀剣の外装のことを「拵」または「刀装」と呼び、拵を補強し、構成している金具の総称が「刀装具」である。」
一般的に刀装具とは、太刀金具も含まれますが、打刀拵の金属部分のことで、「鐔、目貫、笄、小柄、縁頭のことで、金属で作られた鐺(こじり)、返り角、裏瓦や鯉口」も含まれます。現在では、刀装具とは、一般的には鎌倉時代頃からと言われている鉄製の紋透鐔である古刀匠鐔以降の作品のことを指しています。刀を突いて使ったときに、自分の手を滑らせて切ってしまうのを防ぐために、必要不可欠であった鐔の役割からは、想像を超える侍のダンディズムを感じます。一枚の鐔から、その特徴や図柄から、流派、さらには時代の美意識までをも読み取ることができます。たとえば、槌目仕立てに焼き手を加えた力強い尾張鐔や、江戸時代に花開いた金工による優美な作などがその一例です。鉄地に力強い透かしを施したもの、金、銀や真鍮などを象嵌したもの、あるいは和歌や物語を題材にした意匠にしたものなど、多彩な表現が生み出されました。
研究の伝統を受け継いで
当ギャラリーの活動は、五十年以上にわたり刀装具をこよなく愛するコレクター、研究家であり、肥後金工、「西垣」「平田・志水」「林・神吉」の著者でもある伊藤満の研究に基づいています。その観点から、ギャラリー陽々は刀装具の魅力をより多くの方々に知っていただくことを目指しています。
ギャラリー陽々のブログでは、次のようなテーマを取り上げたいと思います。
刀装具の様式や流派の見分け方(透鐔、古金工、古美濃、後藤家、信家、金家、肥後金工や町彫金工など)。いわゆる鑑定ポイント。
時代拵から肥後拵についての特徴。
『古今和歌集』や『伊勢物語』といった古典に題材をとった文様の意味など武士の教養に触れる。
コレクションのためのヒント:美術作品の正しい保存方法など。
当ギャラリーからの最新情報。
愛好家のために
刀装具を長年コレクションしてきた方や、初めて触れる方にも、このブログが学びや楽しみとなることを願っています。刀装具に関する専門的な研究から、武士の美意識をテーマとした随想まで幅広く発信してまいります。また、ギャラリー陽々で扱う作品もご紹介し、知識とコレクションの相互の豊かさを感じていただければ嬉しいです。
武士の美学を、私たちと一緒に探求していただけたら幸いです。次回は 「信家についてのお知らせ」 をお届けします。ぜひ、刀装具を心に。
参考文献:
「刀装具の起源」「透鐔」笹野正行
「崇高なる造形 日本刀」ミュージアム都留
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