JT94 胡蝶透鐔
無銘:古刀匠
鉄地丸形 角耳 室町中期
81.6mm 81.7mm 耳2.2mm(切羽台2.8mm)
上製桐箱入落込済
「刀匠」として保存刀装具鑑定書付
¥170,000
Ko-Tosho. Design of wild butterfly.
Middle Muromachi period.
NBTHK hozon paper as "Tosho".
刀匠鐔は、古い時代に刀匠が一刀を鍛えたときに添えたものが起源と言われ、この名称が付きました。かつては秋山久作翁が7、800年の星霜を経たもの(鎌倉時代)もあると言われましたが、近年は室町中期頃とされていました。しかし、笹野大行氏が「刀装具の起源」の中で「伴中納言絵巻」に出てくる下僕が腰に指している打刀に付けられていたものとして、平安末期や鎌倉時代からのものと定義されました。また、幕末の水心子正秀や直胤のような刀匠が作った鐔と区別をするために「古」がつけられました。この鐔は丸い鐔を一つの空間と見立てて右上にゆらゆらと舞う蝶を透かしています。平地は磨かれ、蝶の透かしはかなりシャープで位置も計算されています。そこには創作の意図があり、鎌倉時代や南北朝時代とは違った雰囲気です。室町中期にはすでに繊細な京透かしが作られていることから、それらと同じような時期で古刀匠鐔の下限と想像するのが自然です。透かしも鉄の保存状態も良く無櫃であり、得難い作品です。

